今、「まちづくり」という言葉が盛んに使われるようになている。市民の中にも「まちづくり」に関心を持つ人々が多く現れ、志を同じくする仲間たちが集まって勉強会を行ったり団体を組織して積極的に活動を展開している。
この平仮名で書く「まちづくり」は、街路や公園、建物といった単なるまちの空間の創造だけでなく、「地域」(「まち」)にかかわる全ての人々が、それぞれの分野における知識や情報を共有しながら、生活を取り巻くあらゆる要素を総合的に検討・判断し、多角的・協調的・継続的な活動を通して、真に豊かな地域・暮らし、すなわち『暮らしづくり』を進めることを意味しているといわれます。
そして市民活動とは、行政のみならず、地域の自治会、NPO等の市民活動団体が、相互に役割を認識し、尊重し、それぞれ足りないところを補いあいながら対等の立場で、共通の目的を達成するため一体となって進めていくことだといえます。
多様化・多元化する市民ニーズに、より的確に応えられるようにするためには、各主体の視点からの提案力や専門性・先駆性などを行政に取り入れることによって、行政サービスを向上させたり、行政への市民参加を促進する事に結びつき、自分たちの地域を良くしようという意識や行動)の推進につながるといえます。
〆NPOとは、ボランティア団体や市民活動団体全体を指す言葉。
多くの自治体では、市民とのパートナシップによる市民自治(住民自治と同義)を推進し、地域や社会の課題や問題に向き合い、市民が活動する場を行政が提供したり、市民が意見を述べたり提案を行う機会を増やす等、市民や市民活動団体との協働を一層発展させる努力をしている。
佐倉市でも、「市民協働の推進に関する条例」が平成19年1月に施行開始され、同年4月から具体的な市民協働事業がおこなわれるようになった。
協働事業には、行政提案型と市民提案型の二通りがあって、提案された事業計画については、審査経た後に提案事業として認定する形で進められている。
しかし導入間もない現状においては、市民協働の理解不足や、推進プロセス等にまだまだ課題もあるように思われる。
「どのような事業を協働事業に認定するか」、「取り上げた協働事業に、更に付加価値を高めるためにどのような手順が必要なのか」等、より効果的な成果に結びつける上でのプロセスや役割分担等にさらなる改善や工夫が望まれるといえる。
そして、協働を推進し発展させていく上で、行政、市民団体各々には、次のような点に十分配慮した対応が重要だと考えられる。
行政は、協働は相互理解から始まることを踏まえ、対等な協働を生む仕組み作りとともに、協働事業には、明確な目的をもった時限的な事業に重きを置いて選定する事が重要だと考える。そして、選定した協働事業には市民参加で促進する環境づくりと、資金以外の面からの支援についても、具体的なプロセスの確立が必要になってくる。
一方、市民や市民活動団体も、地域のエゴや行政への不満・要求をするだけでなく、地域の問題や課題を何とかしようという活動に積極的に参画するとともに、所属する活動団体の組織力・提案力、更には人材育成等における努力と、成熟した市民活動団体へと成長していくことが求められている。
豊かな社会、豊かなくらしの実現を図っていくためには、地域住民自らが解決に向けた行動を起こし、つくり出していかねばなりませんが、一つひとつの団体や個人が活動を持続的に行うには大きなエネルギーが必要です。私たちは地域の問題解決のために、多くの市民がいろんな市民活動に積極的に参加する事を願うとともに、そうした活動がより推進しやすくなるような環境づくりに寄与できればと願っている。
≪2009年9月 福山≫