NPO活動などで良く「文化ボランティア」という言葉が言われます。また、NPOの活動分野の分類も「文化の振興を図る活動」という項目があります。
佐倉市でも文化の振興によるまちづくりや、文化遺産を活用して地域の活性化が図られたり、多くの市民活動団体が色々な形で文化活動に取り組んでいます。
そしてまた、文化ボランティアは歴史や芸術、スポーツに自らが親しむだけでなく、他の人が親しむのに役立つ活動や、手伝いをすることも立派な文化ボランティア活動といえるでしょう。
身近な例をあげるならば、
特に、2や4については佐倉でも複数の市民活動団体が幅広く活躍しています。
佐倉市内では、年間を通していろんな形の歴史講演会が数多く催されており、その多くが受講希望者が定員を超え、抽選に当たらないと参加できないという状況です。また、今あちこちで、博物館の人気が高いといわれていますが、これは、
そうした人たちを受け入れる側からみると、佐倉市の旧城下町地域でも複数のボランティア団体が、来訪者に対して文化や観光のガイド活動を行っています。
文化や観光のガイド活動を一口でいえば、市民または来訪者に佐倉の文化や文化遺産、自然や町並み景観等を紹介し、楽しんでもらうと同時に、佐倉を訪ねて良かったと感じてもらえるよう、そのお手伝いをしている事になるでしょう。
別の見方をすれば、「来訪者の目的達成とその過程を堪能してもらう手助け」をする事によって、「また佐倉に来よう」、「他の人にも勧めたい」という気持ちを持ってもらうことかもしれません。
ガイドによって来訪者に目的以外にもプラス部分を与えることができれば、来訪者が増え地域が活性化すると同時に、住んでいる人にとっても「住んで良かったまち」になっていくことにつながります。
過去に日本経済新聞が実施した、「やってみたいボランティア」のアンケートでは、文化・教育に関係した、いわゆる文化ボランティアが上位に幾つも入っていました。これをみても、ボランティアをやるなら趣味や特技を活かし、知的好奇心にも応えてくれる活動に、多くの人が魅力を感じている様子が伺えます。
社会に役立つとか綺麗ごとも大事かもしれませんが、自主的な活動で自分の好きなことができ、自分自身の成長につながる事もあって、文化ボランティアはますます盛んになる活動といえます。
そうした文化ボランティアの中でも、特に文化遺産や文化的な古い建造物、或いは町並み景観や旧跡・史跡をガイドするボランティアは、更に大きな魅力があり、全国どこのまちに行っても施設や町並みガイド活動を多くの市民が楽しみながら行っています。
文化や町並みガイドをボランティアで行う魅力はいろいろ上げられます。
更に、ガイドを終えて来訪者と別れるときに、「佐倉は良いところですね。また来ます」、「佐倉が好きになりました」と感謝されお帰りになる姿などに接すると、心の底から充実した気持ちになり、ガイドの素晴らしさ、楽しさを実感します。
しかし、聞いている人に感動を与えるガイドはなかなか難しいものです。当然、ガイドは聞く人があって成り立ち、相手はある種の目的や期待を持ってガイドに接し話を聞いている事を認識する事が大切で、聞き手がどのように感じながら聴いているのかを敏感に察し、聞き手の目線で対応する事を忘れてはなりません。
独りよがりになって一方的にしゃべるガイドは相手に不快感を与えるし、細部にわたりすぎる退屈な案内にはくれぐれも気をつけなくてはいけません。
来訪者個々の要望や目線に合わせて話のストーリーを変化させたり、その物、その場所、時代などを、点として説明するのではなく、なるべく他の物や場所と線で結んだ説明が、聞き手の理解を助ける事につながります。
しかし、こうしたガイドスキルやガイドテクニックは、各人が努力しなければなかなか上達しません。
講演会で聞いた話や、本や資料で学んだ情報をそのまま伝えるだけでは、聞き手は難しく理解できない事が多くあります。自分が得た情報や学んだ知識をどういうストーリーで、どう話したら聞き手にわかってもらえるか、これを工夫するのがガイドの役目です。
また、話の進め方と同時に、人との出会いを大切にする「おもてなしの心」も重要な要素で、「知識が豊富でも下手なガイド」と言われないためにも、先輩や他所のガイドをただ真似るだけでなく、幅広い分野の研鑽をつみながら、ガイドに求められるマナーやエチケット等にも配慮したガイドスタイルを創る事が大切です。
≪2012年10月 福山≫